第74章 融和
ケイトの実父は職場でのストレスを、ケイトへ当たり散らし続けた
ケイトの母と姉へ当たり続けた
たとえ自分の腹が立つことを、何一つとしてしていないとしても…
それは、
無罪としかされないそれは…
周囲から優しい人、そんな人ではないと、傷と想いを否定され続けた日々は…
確かに、与えているもの自体は、全く同じとしか言えないものだった……
その想いを知るからこそ…市民の想いを否定出来ない。
拒絶も出来ないし、無かったことにも、見なかったことにも出来ない。
事実、やったことは無かったことにならない。
巻き戻せもしない。
他の人も知る「普通」を知りたかった。
でも家庭は、周りは、それを学ぶことを由としなかった。許さなかった。
皮肉にも…されて嫌だったことはしないと、繋げられた。
それははからずしも、何を受けても正を与えられる。
いくらでも与えられ続けた負を、負として与えて回らない言動へ繋がった。
相手の都合と事情を踏まえ、悪と決め付け「痛め付けるべき対象」として見ない。
自分だけではなく、相手にも都合と事情がある。そう考え至る。
傷や痛みを理由に、想いを免罪符にして人を不幸にしていいとは思えない。
その在り方こそが…
癌とは対極に位置する、人としてあるべき姿であり、癌に染まらない『最も秀でた在り方』と言う。
負の流れ、連鎖を断ち切り、正流へと戻す…それが『真(まこと)に在るべき形』
自分にとって、ではない
一番重要なのはそこだ――
自分とは異なる『他』、相手の立場に立ち、考え、思い遣れる…
そここそが『本懐』だと――
アイズ「………消えない選択はないの?」
ケイト「……手はある」
『!!』
ティオナ「え?あるの?」
ケイト「頷)
助けない、とは言ってないだろ?」
『やった!/よし!』
ケイト「そこで可能性を示せれば、あるいは…」
アイズ「なら…」
顔色を輝かせる
だが、わかっていない……
ケイトが、どうなるのかを…
ケイト「皆から力を借りて創世神の力を作り出し、私一人を犠牲にして…やっとこさだ」苦笑
アイズ「……え?」
ケイト「世界そのものを改変させる…
時空間ごと巻き戻したとして、魂は蘇らせられたとして、世界そのものへ波及した力までは決して消せない…
私の咎だ」俯←3741ページ参照