第73章 キルアの冒険

ケイト「結局の所はさ…

遭うに値しないってこと？」

『？』眉顰め怪訝にケイト見つめる

ケイト「えっと…

ベルや沢田綱吉に痛い目を見せられた、
本来なら痛い目を見るべきでない、何もしていない巻き込まれた、巻き添えに遭っただけの、無辜な人達…」
キルア「当然だろ。
そのベルや沢田綱吉に、一体何やったって話だろ？

何かやったってんならそうされるべきだろーけどさ…
逆だろ？

実際は、なんにもしていないし、いつ暴れられるか壊されるか傷付けられるかっつー恐怖ばかりが募る一方だろ」淡々

フィン「ああ…

方針に具体性も無く、譲らない軸も無い。
あるとして…自分の大事なものを守るだけ」

キルア「ケイトっつー癌化とは真逆の存在で簡単に対比すりゃーすっげーわかりやすいぜ？」
ケイト「？」眉顰め怪訝


キルア「ベルは、自分の英雄像、つまり理想像の実現の為に動いてる。
自分の思い描く通りの未来に行き着かせたいのさ…

助けを求める人や近しい人だけばかりで…それ以外の全てをなおざりにしてでも」
ケイト「！」瞠目

フィン「なるほど…そう来たか」


キルア「で、沢田綱吉は言うまでも無く…自分の近しい人を守りたいだけ。
他をなおざりにして、たとえ殺してでも何をしてでも…

ベルも沢田綱吉も…
自分の理想の実現の為に、
自分が仕出かした方法で、やり方で、他へ与えた危害の責任全てを、
『断る間もなく問答無用で受けさせられた当事者、危害を被った者達』に取らせ、『尻拭い』も『後始末』も全部させてんだよ。

その心に負った、深い傷でさえもな…大事な形見も、命でさえも…
だからにべもなく、繰り返さないよう意識もしてねーから、改善のしようもねー」

フィン「地獄回避に繋がらないという訳か…」

キルア「ああ。

で、それの残酷さ、異常さから、事態を重く見る。
ってーのが普通なんだが、実際はそうするまでも無く、
周りが口々に庇って、
繰り返さないよう頑張らなくても大丈夫だと、自分は味方だと、怠惰の道へ誘う。
当事者の傷も気持ちも「そんなこと呼ばわり」して、一緒になって他を痛め付ける。

だから一緒に地獄に落ちる」

フィン「ンー…
一つ、いいかい？」

キルア「ん？ああ」

フィン「つまり…彼ら2人に共通しているのは…

人の為に見せかけた、虚像に隠れる『自分の為』という訳か？」