第72章 真相
ケイト「…でも……辛いよ」
俯いたまま、呟いた。
沢田綱吉がいる世界『固有』の魂まで、全て消されたことについて…
3人が別のものになったことについても、寂しいと言っていた。
だが、その認識をできるなら改めたい…
フィン「ケイト…彼が、何人殺したかわかるか?
24歳の時点では失策で一般人も込みで万単位殺した訳だが…
ディモンも込みで、数えてみてくれ」
ケイト「?2人じゃないの?」
フィン「違う。
厳密に言えば、死茎隊全員=4人殺していた。
だから総合計で6人殺している。その手で…
死茎隊の4人は元は人間だが、全く意に介さず、気にせずにいたよ。
君も知るように、殺した後も、まるで殺したことがないかのように笑っていた。
本気で殺すつもりで撃って、怒り任せに殺した白蘭とは違ってね…
普通にただ撃って、ただ殺して、後は平気な面さ」お手上げ&肩すくめ
ケイト「…マジで?;」
フィン「マジだ。
事実以外の何物でもない。
4人も5人も大した差ではないと思ってのことか、価値観が合いさえしなければ、殺した所で正当化されると思ってか…
いずれにせよ、殺した後、苦悩も葛藤もなく、殺したことがないかのように過ごし、修行を一切せず
殺された記憶を持つ「殺した相手」を前にして、山本を助けたことへの礼も言わず、助けられた本人まで一緒になって同盟を組むことに反対して、
人の気持ちも経緯も聞かずに悪人だと決め付ける、『自分のことしか考えていない本質』が露見した瞬間でもある。
更に、そういうことをしておいて…
「力を貸して」と求め、
勝手に「一緒に笑ってくれるみんながいる!!いざとなれば力を貸してくれる仲間がいる!!」とカウントする始末…
力になろうとしたことも考えたことも無い立場で、だ。
普通の人なら、殺した罪の重さに押し潰されるか悩むか悪夢を見るか、
そして「自分が殺した人」が目の前にいて対面したその時にのしかかる罪の重責で、フラッシュバックなり悲鳴を上げて精神が病むなり何なり起きそうなものだが…
一切起きもしなければ抱きもしない……
たとえ目の前に現れたのが死茎隊でもディモンでも同じことさ」
ケイト「断言した…;」
フィン「事実だからね。
目の前に現れる平行世界もあるが、事実、そうしたことは一度として無かった。
ただの一度さえも…」
