第71章 改革
くすぶっていた感情が、少しずつ戻ってきた。
解放されて、共に過ごす内、感じるものが増えていった。
感情が、気持ちが、心が、以前よりも近く感じた…
愛しいと思うのは実母と実姉だけだった。
どれだけ何をされても、その環境を知るから、それごと愛さずにはいられなかった。
それが無くなってしまったら、理解者がいなくなってしまうとさえ思っていた。
今思えば、強迫観念にとらわれていたのかもしれない。
…それだけではないことを、私は知らなかった。
ちゃんと聞いてくれることも、想いを知ろうと食い下がってくれることも、本来ならば28歳になってからあるはずだった。
それが、ここでは…解放されてから、すぐ、育ての家族たちが聞いてくれていた。
寄り添ってくれた。私という心を、個と、向き合って、知って、愛してまでくれた。
愛しくてたまらないと思っていた…その矢先、殺されてしまった。
でも…そのお陰で、皆と出会えた…
フィンと出会えた。
誰よりも愛しいと、想う…大事な人と出会えた。
そうでもなければ、出会えもしなかった…
もう少し早く出会いたかった…
そう、よく言われるが…それは、私も同じなんだ。
もっと早くに向き合いたかった。知りたかった。触れたかった…
こんな私を愛してくれる人と、見てくれる人と、決して…見誤らないでくれる人と…
たとえ相打ちになってでも、暴走する闇を真っ向から、決して否定せず、全てを受け止めようとしてくれる人と……←2207~2209ページ参照
「闇でも、光でも、関係ない…どちらの君も愛している」と断言してくれた…
フィン『両方あって君なんだ。
その君に、僕は惚れた。心底ね…
だから…僕の愛する君を、君が否定しないでくれ』
そう何度も笑い掛けて、頭を撫でてくれた。
温かさを、温もりを、誰よりも近くで与えてくれた、見てくれた。何より愛し、向き合ってくれた…
それが一番嬉しかった…
間違えば、取り乱せば、それに静かに寄り添って、こっちだと教えてくれる。
幾度も諭してくれる、付き合ってくれる…
個が、私という答えが出るまで、何度でも…ずっと……文句さえ言わずに。
一度、聞いてみた。
フィン『文句?
ふふっ。
おかしなことを言うね^^
君のそれは美点だ』
ケイト『?こんなにも答えが出るのが遅いのに?;』