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Unlimited【ダンまち】

第66章 穢れ





元々ある傷へ、更に傷を付けた、更に塩を塗り込んだという負い目、引け目、呵責。

傷を知った後もなお、それらを一切感じない。申し訳なさそうではない。
傷を更につけたことに対しては何らない。何もしない。
その上で堂々と力を貸して欲しいと頼み、その後でも借りる気満々。
そんな言動を取り続ける彼の優しさは局所的…中途半端であり、薄っぺらであり、表面だけなのだ。←2299,2302,2522ページ参照


ただでさえ敵にはそうなるに至る葛藤がある。なのに、そこへ追い討ちをかけた。
それを自覚すると共に、良心の呵責、己のした「傷付けた言動」に罪深さを感じられるか、それに涙できるか否か。
知った「人の痛みや傷」に対し、共に痛み、涙し、歩み寄ろうとする温かさがあるか。悩み、苦しみ、力になろうと、救いたいと、助けたいと思い至れるか。

それらを総合して『優しさ』である。



真の優しさとは…全てに対し、心に、傷に、個に、寄り添えるものである。

出来る範囲だけでも合わせ、共に悩み、嫌がられれば(押し付けになるので)やめ、気にかけられる。
その言動にこそ、『優しさ』が宿る。


僕はそれを…ケイトという人生から、生き様から学んだ。



当の彼は、どちらにせよ放っておいてもチェッカーフェイス、川平に消されるらしい。
世界のバランスを壊すから、という理由で。

リングを壊した本来の世界では殺されなかったが、力を持たせ過ぎたのが最大の落ち目だったらしい。

何でも…持たせた相手が悪かったとのこと。
経緯や傷、葛藤があってこその暴走、それに対してした傷付ける行為、殺した行為に対して…彼は呵責も無く、涙することも、心苦しく思うことさえも無かった。

無論、思い悩むことも、引きずることも、気に掛けることさえなかった。
傷に塩を上塗りさせ、泣きっ面に蜂にさせ、傷付けた申し訳なさも感じていない。負い目も、引け目も、呵責も。

気に病んでも、心も痛んでいないのは…彼の、元敵に対する言動からでもわかる。


寧ろ、その傷など意に介さず、自らがした行為に対して何もしないまま、『堂々と』力を貸してくれと求める始末…
その「自分が傷付けた、殺した他」が抱く傷に痛んだり、癒そう、治そう、力になろうと等は思ってもいないんだろう。

それが当たり前となれば、人類の常識となってしまえば…人類は荒廃する。


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