第65章 新たな冒険
その中…そろそろ帰らないと先生から叱られるな、とトールが学舎から外へと出た。
靴を履き替え、校門へと歩いて行くと…
そこには、小石を蹴るトールの母親がいた。
迎えに行くということは、携帯で知らされてはいなかった。
だが…心細そうな眼差しと、涙に濡れる目を見て…やっと気付いた――
傷付くのは自分一人だけとは限らない。←2815ページ参照
今は…その言葉の意味がわかる。
トール「ママ!」だっ!
涙を浮かべながら、トールは自身の母の下へと走り出す。
トール母「トールちゃん!」涙目
ばっ!←トール母へ飛び付く
だきっ!←トール母が抱き留める
トール「ママ!ごめんねママ!
僕…僕、立派な大人になるから!」涙
喧嘩…傷付ける行為…
それらは、大切な人に心配をかけるだけじゃない…傷付けることにだって繋がるんだ。
そう、トールは学んだと言う…
シン「でめたしでめたし」にや
シン母「あんた、まだこんなとこにいたの?」
シン「おお!母ちゃん!」
シン母「帰るわよ」
シン「ほーい♪(微笑)
今日の晩御飯はー?」
シン母「カレーよ」
シン「やった~♪」尻ふり
手を繋ぎ、幸せそうに笑い合って帰る2人。
夕暮れの太陽が影同士を繋ぎ、幸せという名の彩を深く感じさせられた。
大円団で終わる最中、メラの方でもまた…事が動き出していた。
家に帰ったメラは、メラの母が怒っていないことを知る…
怒るからには、それなりの理由がある。
死ぬに至った原因、それと同じにされたことが許せなかったんだろう、と…
その日の夜、母の布団に潜り込んだメラは、理不尽により死んだことを思い出していた。
メラ「俺…もう…死んで欲しくない。
死なないでくれよっ、母ちゃん」←胸元の服を握り縋り付き涙を零す
メラ母「死なないよ…
あんたを残して死ぬもんですか;」ぎゅうっ←両腕の中に押し込めるように抱き締め涙を零す
メラ「もう…俺……目の前で誰かを失いたくないから。
だから…冒険者になるよ。誰にも敵わないそれに勝って、勝って、勝ち続ける。
誰も…殺されないで済む、そんな英雄に…俺はなりたい。
俺…今日、知ったんだ…大事にしてもらいたいなら、大事にしないとって。
でもさ…外じゃ、誰も彼もが利用してきてたから…現実になんて全然っ」