第58章 堕天
『アイズ!』
僕達は崩れ落ちるアイズへと駆け寄った。
ティオネ、ティオナ、レフィーヤを筆頭に駆け付ける中
闇のそれから解放される光景を前に、僕達は安堵した。
リヴェリア「アイズの闇も…やっと晴れたか」
フィン「ああ…大した被害が出なくてよかったよ」
ケイト「ぐっ…ぁっ」ふら
しかし、僕達の頭から二つのことが抜けていた。
アイズが闇から解放された後…
肝心の闇を全て宿してアイズの手から自ら離れた大剣はどうなった?
ケイトは――どこへ行った?
ケイト「ぐっっ…うああああああああああああああああああ!!!」
ふらっ
剣を抜こうとしても抜けず、剣から闇が消えて元に戻る瞬間までそれは刺さったままでいた。
闇からの侵食から逃れる為に引き抜こうとする彼女の行動は闇に溶け、無下にも受け付けなかった。
剣が元の姿に戻ると共に、悲痛な断末魔が上がる。
それとほぼ同時に剣が抜け、ふらふらと市壁の上で力なく後ろへと倒れかけ…
がっ
左足のかかとが市壁の縁へかかり、そのまま市壁の外――後ろへと倒れ込み、落ちていった
『!!』
フィン「ケイト!!」だっ!!
咄嗟に…弾かれるように体は動いた。
壁を走り、仰向けのまま落下する彼女よりも早く飛び付き
右腕を彼女の後頭部へ、左太股を彼女の両足の後ろへ、左腕で抱き寄せて支え、落下の衝撃を霧散させた。
ずだんっ!!!
生み出されたばかりの異空間の地面。
その衝撃は、元の世界とは何ら変わり映えの無いものだった。
落下した後もなお微動だにしない彼女へ呼び掛けて揺すった。
しかし――反応が返ってくることはなかった
恐らく…これは推測だが……
闇の言葉から察するに、今度はケイトの闇を引きずり出し制御しようという腹なのだろう。
イレギュラーばかりが起こる中、わかりやすい相手の行動に…怒りがわいて仕方が無かった。
フィン「いいように利用しようとするな――!!」ギリッ!!
憤怒の形相になっていたと、後に教えられた。
そんなことなど一切意に介さないほどに、怒りに駆られ…思い通りにさせまいと必死だった。
テロップ『To be continued…?』