第58章 堕天
アイズと、ケイトと僕以外との戦いは…皆が押していた。
アイズは始終押され続けており、絶え間なく続く連撃に疲弊しているようにすら見えた…
というのも、ケイトが戦い続けていたこともあってだろうが…
想いの為せることでもあるのは、言わずもがなだった。
そして動きが鈍くなってきた矢先、それを制止…戦いを物理的に止めさせた。
アイズ「っ…ぁっ…」ぷるぷる
その言葉に…アイズは俯き、手を額に当てて震え…項垂れて跪くように姿勢を崩した。
その中、闇が突如としてアイズの意思とは拘らず動き出す。
闇『まだだ』
アイズ「っ…(ぎゅっ)←大剣を構え直す
…(ギリッ」←歯噛みし、ケイトの双眸を真っ直ぐに見据える
見つめ合う最中、勝負は一瞬で始まり…
アイズ「テンペスト――エアリエル!!!」
ドゴッ!!!!!
黒い風の渦、闇の風が展開し、左腕を拘束されながらも
右手に持った大剣に全ての闇を集約させ、リル・ラファーガを間髪入れずに叩き込もうとする。
それに対し…ケイトの光の一撃、左拳がアイズの鳩尾へと叩き込まれた。
…一瞬で、決着がついた。
ケイト「……ちゃんと、受け止めたよ。
お前の闇も…想いも(ぎゅうっ)
今は安らかに眠れ…
また…暴れたい時は、いくらでも付き合うから」真剣&なで
そっとアイズを抱き締め、頭を撫でた。
ばりっ!←闇に稲妻が走る
ケイト「?(何の音だ?」眉顰め
ばっ!!
その矢先…アイズを纏っていた闇が、抱き締められていたケイトの両腕を振り払う。
闇『ここまでか…だが、十分機は熟した』
不気味な、おどろおどろしく低い声が地鳴りのように微かに響いた。
闇と分かたれ無事解放されたアイズは、そのまま宙に浮く力を失って落ちていく。
それに対して手を差し伸べようとした矢先
ケイトに変化が表れていたことなど僕達は気付けず、目にも入ってはいなかった。
ぽとっ
ケイト「ごふっ」
闇が大剣のみへ集約し、自らの意思を持って動き…ケイトの胸下部へ突き刺さった。
落ちるアイズを受け止めようとした矢先のことである。
喀血するケイトに…僕達はまだ気付けていなかった。
闇の計算の上――その光景を光の反射も消すこと=目に映らないようにすることで悟らせまいとしていたが故に起こった事態だった