第58章 堕天
ケイト「足手纏いだと正直に言うべきだろうか…?
いや、でもその魂にしか出来ない力もあるはず…一概に決め付けることなんて……
……でも…それ以上に……)
(ふっ)←笑みを浮かべる
よかった…(ぽつり)
いるじゃないか…こんなに――
それも、必死になって動いてくれる人が…沢山」
結界の維持などフィンのみに任せ、アイズとの戦いに身を投じ出した。
この声(叫び)よ、届け――とばかりに
アイズの悲鳴(叫び)に負けじと、高らかに叫ぶと共に力へ込めてぶつかり合っていた。
アイズとの激戦が、更に深刻化した。
凄まじい爆風と土煙の中…僕の視界に、ケイトの顔がちらりと映った。
少し寂しそうに見える笑みを浮かべる横顔は…どこか物悲し気で、昔のことに思いを馳せているようにすら見えた。
大剣をどれほど弾き飛ばされようとも、必死になって闇へ縋るアイズへ…
ケイトは右手で、その左腕を掴んで止めた。
アイズ「離…してっ」
ぎりぎり
苦悶の表情を浮かべて振りほどこうとするそれに対し、決して離さないと言動で…態度で示した。
宙に浮いたまま動かず、頑なに真剣に向かい合った体制のまま…
ケイト「闇も、何も抱えてない人間なんていねえよ…
それでも、必死こいて生きてんだろ。
たまたま幸せに辿り着くのが早いか遅いか、闇が短いか長いか…それだけの違いなんだ。
慟哭も…断末魔も…死ぬほどあげた。
助けは来なかった。救いもなかった…
現実は、この世界は…そういうものなんだ。
痛いほど知ってる…だから、放っておけない。
だから…私の周りでは、そんなこと…まかり通らせたくはない。
同じ人を、増やしたくない…
お前なら…わかるだろ?」涙
アイズ「…!!」
ケイト「英雄は、誰かの為に必死になって動ける人間だ!
誰かを心配して、是が非でも助けようと動いて、それだけで…
その言動を取れるだけで!それさえできれば…!
それが英雄なんだよ!!
私にとっては…お前も、皆も…英雄なんだ」
アイズ「…」瞠目
ケイト「周りを見ろよ!
お前のこと心配して駆け付けてんだろうが!
見て見ぬ振りしてんじゃねえ!
こっち見ろ!!(ずいっ!)
お前の英雄なら、家族なら、ここにいんだろうが!!!」
叫びながら左手を振り上げ、皆を指さした。