第1章 幼少期
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黒脛巾に付いて行き城に向かう途中に大きな城下町
被った着物から顔を出してきょろきょろと見渡して城下の様子を観察してたら黒羽に笑われた
「姫様、少し落ち着きましたら散策に来ますか?」
「いいの?」
「以前の様にならなければ平気だろう」
ぎく、それは毛利であった事ですね。
あれは予想外だったんだよう、まさか犯人が馬鹿正直に早々に狙ってくると思わなかったんだもん。
あれはない、間抜けにも程がある。
松寿丸から貰ったお手紙の中に弘元さまからの言伝てもあって
首謀者と共犯は罰せられたとのこと。
禁酒も、松寿丸が倉にあったお酒とか前部売っ払ってしまった為無事に続行中
体調も良くなってるそうです。
松寿丸凄いなと思ったよ、その行動。
兄さまに頼んで腕の良い薬師も派遣して貰ったし松寿丸も少しは安心したかな?
三郎四郎もお爺様から風の婆娑羅者の師匠を紹介して貰ったみたい。
弥三郎も武芸に励んでるとお手紙を貰いました。
お願いだから絡繰で国の財政を傾けないでね?
・・・たまに皆の様子を見に行こう。
城下を抜け、橋を渡った先に米沢城と思わしき平城が見えてきた
「あそこが米沢城ですよ、姫様」
数年前に兄さまがカチコミ(違う)しに行って伊達夫妻を説教しに行った場所かぁ
今回は何も無いと良いんだけど・・・
「織田信長が妹、市、です」
「頭を上げてくれ、俺は伊達当主の輝宗だ。よく来てくれた」
「兄さまからの、お手紙です」
「態々この奥州まで悪いな、受け取ろう」
よく見ると輝宗様のお隣に綺麗な女の人、あの・・・どちら様でしょうか?
「妾は義姫と呼ばれておる、信長の妹よ、良く来てくれたのう」
うっそりと微笑む美しいお方。
わお、普段は奥に居るはずの奥様登場?
「姫様付きの忍、黒羽と申します」
「同じく、雹牙と申す」
「お前達の事も信長からの文で聞き及んでいる、大層腕の良い忍と聞いた。市姫の家族ともな」
「恐れ入ります」
今回は2人も顔を出しなさいと言われて出て来てます。
今まで「忍が顔を出す訳には」と言って天井裏だったものね、義姉さまの輿入れの宴の時に出席させられたし半分諦め気味ですよ。いいぞもっとやれ。