第1章 幼少期
「そんな殺気駄々漏れで、何しようとするか大体予想が付くが止めんか」
溜め息とコンボで釘を刺されました。
「里を出てから尾張に来て、信長公とお市様、貴女と黒羽は奇異の目で見なかった」
「黒羽、も?」
コテリと首を傾げて黒い相方の方を見やれば
「私も髪の色は黒いですが、目は特殊な色をしていますから、特に驚きませんでしたね」
朗らかに微笑まれた。
むう、何だこの二人・・・やたら訳有りじゃないか
むむむむ、と考え込んでいたら雹牙が姿勢を正し
「お市様は俺の全てを受け止めて下さった、此の恩は俺の心を救って下さったお市様に捧げます」
ホワッツ!?どうした雹牙!
いや、大した事してないよ?お兄ちゃんの愚痴聞いてあげただけよ?
「市、何もしてないよ?」
「いや、今までのお市様の行動、言葉、全てが結果として俺の救いになったんだ」
「雹牙も黒羽も家族よ、当たり前の事をしただけ」
そこで雹牙に頭をわしわし撫でられた
赤い瞳が優しく笑う
「そこだ、俺達は忍・・・本来は草として有る物だ
其れをお市様は人として扱おうと仰る、忍にとっては主に最も望ましい方だろうな」
・・・よく分かんないけど、黒羽も雹牙も嬉しそうだからオッケー?
ごめんなさい、馬鹿な主で。
「えと・・・これからもよろしく?」
「「御意」」
とりあえず、家族会議は円満に終わりました。