第1章 幼少期
「弥三郎さまの髪の毛は、お月様みたいに、銀色でとても綺麗ね」
私の言葉にきょとんとした顔で見つめられた
睫毛まで銀色か、美人ですなあー
銀色の髪に大きな青い右目。そこらの美少女も裸足で逃げるわこれ。
女物の着物を着てるから尚女らしい
私・・・色々負けてる様な気がするのは気のせいかしら・・・
「瞳も綺麗な青なのね、良く晴れたお空のようね。ここなら海の色も合う」
なでなでとワンコみたいな頭を撫でてたらまた弥三郎さまの目からぶわっと涙が溢れてきた
ホワッツ!?どうした!!
わたわたとまた手拭いで涙を押さえ付けて
「ごめんね、市何か悪いこと、言ったかな」
あーもー、今日は泣かせてばっかりだな!
駄目じゃないの自分!と内心土下座してたら
「違うの、市ちゃん
凄く、凄く嬉しかったの!」
と恥ずかしそうににっこり笑ってくれた。
良かったらお友達になってくれる?という彼の言葉にちょっと笑って。
もうお友達のつもりだったのにーと拗ねた真似をしたら大層慌てられたので可愛かった
さま呼びは要らないよ、と言うので。
じゃあ私も市で、と呼び方が決まって互いに笑い合う。
弥三郎可愛い~と抱きついたらいい加減にせい!と雹牙が降りて来たのは言うまでも無し
あ、そうだ。と丁度降りてきた雹牙に向き直ると何だと思ってビクッと固まる
「弥三郎、雹牙も弥三郎と同じなの」
「え?」
「お市様」
「ごめんね、大丈夫」
雹牙の頭巾を取る謝罪と安心してね、という意味での言葉を送る
弥三郎と同じ色じゃないだろうけど
恐らく、幼い頃は奇異の目で見られたのでは無いのかと思う。
本人の口からハッキリ聞いた訳じゃないけど
城に来る前のあの態度はもしかしたら経験があるんじゃないかって思った。
それが私の、城に着く迄に考えた事
ハラリと頭巾を取った雹牙の姿に弥三郎は少し驚いた様だ
私は気にせず雹牙に近寄りその大好きな顔に抱き付いた
『お市様』
『ごめんね、城に着く前に嫌な思い、させちゃったね』
そう言うと驚いたのか赤い目が見開き此方を凝視していた
『この話は後でね』
口パクで言うとコクリと頷かれた。よし、先ずは弥三郎!
「弥三郎はこの人怖い?気持ち悪い?」
雹牙の首に腕を回しながら。
あれ、この問い掛けこの前もしたなー