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闇に咲く華

第1章 幼少期


12

船の先頭に行って外を眺めるとさっきよりも陸が近くなってきていた。
潮を含んだ風の匂いを嗅いで船の中に戻ろうとしたらちょっと足が与太った

おおう、前世の身体だったら絶対酔って死んでたと思う、本気で。
ハイスペックな三半規管、婆娑羅者の身体万歳!

黒羽の所までとてとて歩いて行ってこれからの予定を聞いてみると
岡豊城に最も近い港に着いたらそのまま城に向かうそうです。

あれ、城に直行じゃないの?

長曽我部と言ったら水軍じゃないの?

「今代の国親様はまだ水軍の力も弱い」

私が疑問に思った事を察したのか雹牙が付け加える

「そうなんだ・・・」
「今回は到着が遅くなりそうなので、港に到着次第、私が先行して城に先触れさせて頂きます」

あ、そうだね、お願いします。
と言って今日の会議は終了。

ギィギィと鳴る船の木の音を聴きながら
日陰からぼんやりとやや真上にある日を眺めた。


カモメの声をBGMに陸に上がる時に少し感覚がフラついた気がした

「疲れた・・・」
「初めての船旅でしたからね」
「帰りもこうだと気が重いな」

黒羽は気を使って声を掛けてくれるけど
君達忍は普段どうやって海渡ってるのか知りたいです。
やっぱ凧とか使うの?それとも海走るとか?
気になる忍クオリティ!
企業秘密なんだろうけど今度こっそり聞いてみようそうしよう。

船から馬2頭を降ろして引いて来た雹牙の元に行き
今日は先行予定の黒羽とじゃなく雹牙と相乗りです

私も急げば良いんだろうけど馬で全力疾走は
幼い身体じゃ少々きっついのでのんびり行く事に。
婆娑羅者の体力なんて常人よりも桁が違うんだけどまあ、それはそれ
一応私も姫という身分なので・・・

え、もう遅い?そんなあ

「雹牙、今日はよろしく」
「ああ」
「では、私は先に行きますね」

猛スピードで駆けていく黒羽を見送った後、雹牙に抱きつき直し
雹牙は不器用な動作で日焼け防止の着物をかぶせて、その上からポンポンと頭を叩く。
彼なりの優しさが心地好い

「では俺達も行くぞ」

と、馬の腹を蹴った
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