第1章 幼少期
布団に潜ってちょっとニヨニヨしてたら照れてるのか「早く寝ろ」と言われたので
胸の辺りがぽかぽかと心地よい気持ちになりながら
私まだお子様だなーと思いながら眠りに着いた。
大きくなったら二人にどんな恩返しができるかなーなんて
まだまだ先の話だけれども。
まずは兄さまに感謝。
空が明るくなり朝日が昇り始める頃に目が覚めた
この時間帯に起きるのはここに生まれてからすっかり慣れました
流石朝日と共に起き日が落ちると共に寝る時代。
夜火の油代も馬鹿にならないから無駄に使わないしねぇ
目を覚まそうと井戸に行き冷たい水で顔を洗ってサッパリさせる
うん、スッキリ。ちょっと身体の倦怠感は旅の疲れかな?
ここは雹牙に甘えて休憩させてもらうか。
部屋に戻ると黒羽も雹牙も布団等を片付けたのか綺麗になってます。
黒羽と雹牙の間に空間があったのでちょこんと座る
「姫様」
「ん?」
「昨夜、月山富田城に探りを入れたのですが・・・」
おや、黒羽にしては言葉の歯切れが悪い?
ふと雹牙と顔を合わせた後黒羽にまた向き合い続きを待つ
「忍んだ先にて、現当主の尼子経久に見つかってしまったのですが
何と言うか、随分食わせ者な男で姫様の忍かと言ってきて・・・
というか姫様の存在が尼子に知られている様です」
「ドジ・・・」
「阿呆か貴様」
猿も木から落ちるとはこの事かーと言いながら
雹牙と二人で半目になって黒羽を見てたら慌てた様に
「尼子氏が、丁度姫様に興味を抱いて居た様でここから出る前に城にどう招こうか考えていた、と申してました」
と言うもんだから二人で頭抱えた。
「黒羽・・・」
「は、はい」
「あなた、忍よね?」
まさか姿を見られたの?と聞けばうっと言葉を詰まらせて「猫の姿で居りました」と白状した処で合点が行った
「この砂漠の町、城で猫は不自然ね」
この言葉に黒羽はしまったっと気がついた様で
雹牙は横で深い深い溜め息を吐いた。