第1章 幼少期
何かもう私が口を挟む隙も見当たりません。
同じ様な押し問答を繰り返しても結局はこっちが疑われる
意味無いんでない?
「ふむ、こう問答を続けていても市姫が可哀想だ
連れて参れ!」
「は?!」
今まで問答を続けた男の表情が一気に変わる。
出入り口から入って来たのは武士風に着物を装った雹牙と
城下からの帰りに私達を襲った、後ろ手に縛られた武士のリーダー格の男だった。
「して、井上。様子が可笑しいが何かあったか?」
「今…尋問中では…なかった…のですか」
弘元様・・・一言だけ言わせて下さい
今めっちゃイイ笑顔です!!
横で松寿丸が「悪趣味な・・・」とボソッっと漏らしてますが同感でアリマス!
てかこの食って掛かって来た人が井上氏だったのね
多分このドッキリがやりたかったんですね弘元様(遠い目)
「オラ、行け」
「ヒィ!!」
雹牙の容赦の無い蹴りで、広間の半ば辺りに居る井上氏の所迄転がされる賊は
井上氏の顔を確認するやいなや
「いっ井上様!申し訳御座いません!!何卒!何卒命ばかりはっ!」
「きさっ何の真似だ!!」
うーわー・・・桃●郎侍もビックリなド修羅場に突撃であります。
私はともかく松寿丸に見せていいの?これ。
弘元様の顔は変わらずによによと楽しげ
「其の方、知っている事を此処で全て聞かせて貰えるな?」
弘元様がそう聞けば一瞬言葉に詰まったが
雹牙が鋭く睨んだら「ひっ!は・・・はい!!」と脅えながら話し始めた
雹牙・・・キミ一体この人にどんな仕打ちをしたのかね
松寿丸と一緒になってこてっと首を傾げた
井上氏の陰謀と毛利に対する反感
織田の姫を利用して松寿丸に危害を加えようとしたという事実を目の前で証言され
井上氏のお顔は文字通り真っ青
家臣達からの殺意が一点に集まる。
物理的に視線で殺せそうね、井上氏に穴が空くんじゃなかろうか
「この者の処罰は、後日私が下す。其奴に加担した者も同罪と思え」
そう言ってこの場はお開きとなりました。
家臣さん達が居なくなる中、ふうっと溜め息を吐いたら松寿丸に「大丈夫か?」と声を掛けられた。
ん?ああ、緊張してたのか袖掴みっぱなしだったねごめん
「袖の事は・・・どうでも良い。疑われては気分が悪かったろう」
「ん・・・平気、良かったね、犯人見つかって」
笑ってそう言えば外方を向かれた、およ。
