第1章 幼少期
まあ、目的が弘元様と松寿丸以外ここの人は知らないからそんなアホな事しないんだけどさ
そんな事して得するのもうあの人しか居ないんじゃん。
そんな推測を松寿丸とつらつら述べてたら図星だったのか
リーダー格らしき男の顔色が面白い程に良く変わっていく。
「このっ!化け物め!物の怪が人の形を成して何を企んでいる!!」
おーおー、口で勝てないと思ったら化け物扱いですか
確かに私も松寿丸も年齢から見たら聡いと思うけど・・・っ!?
「貴様・・・我は兎も角客人の市に迄、何と言う物言いか!」
「姫様に対する無礼、死して侘びろ・・・」
「生まれて来たことを後悔させてやる」
何?何?この周囲の怒気・・・?
まだ殺さないでよ?雰囲気がもう抹殺モードだけど大丈夫?
何でそんなにブチ切れてんの?!怖いよ!!
「まって、情報を吐かせてから、処罰は弘元様だからね」
だから殺さないでね、って言った所で渋々と言ったオーラが漂ってきた。
・・・釘刺しといて良かった。
「殺さなければ良いのだろう」
「うん・・・」
雹牙の物騒な物言いで会話が終了。
とりあえず、3人の怒気と殺気に気圧されて半ば戦意喪失してる皆様には
心の中で合掌しておこう、南無南無。
松寿丸には手を出させたく無かったので
私の婆娑羅で押さえ付けて
忍二人で手刀で気絶させてからささっと縛って貰う事に。
雹牙が賊の搬送と尋問をすると勝って出てくれたので任せて
黒羽護衛の元てくてく帰ってる途中
「済まなかった」
「ん?」
繋がれた手に力が込もったので顔だけ向けたら
松寿丸の顔が辛そうにしかめられて
「市を、巻き込んでしまった。化け物とまで罵られて・・・」
顔が更に俯いてしまい松寿丸の声が詰まった。
うーん、正直あの事は3人が怒ってくれたからどうでも良くなっちゃったんだよね
予想外に嬉しさで怒りも呆れも吹っ飛んだって感じで。
だから
「もう、気にしてないよ?」
俯いて低くなってる松寿丸の頭を撫でるとばっと驚いた様に顔が上がった
あ、顔が赤くなった。
キッと目付きが鋭くなって真面目な声色で
「・・・我は強くなる」
「うん」
「次は我が市を守ろうぞ」
「・・・うん?」
普通そこは大切な物を守る為じゃないの?
松寿丸なら安芸とか毛利とか
とコテリと頭を傾げる。
うんうんと考えてたらもう城に到着していました。
