第1章 幼少期
ここは城下への一歩手前まで歩いて来てます
黒羽と雹牙は忍だと判らぬ様にちょっと身成を良くした格好で
付き人風に、うん二人とも格好いい
あの時は婆裟羅が目覚めた事実よりも
生まれた世界が婆娑羅だった事が大きかったんだよ
のほほんと答えてたら「呑気な・・・」と隣で溜め息を吐かれた
後ろの二人も同意らしくうんうんと頷いている、失敬だな君達。
そこまで話してたら城下に到着
ここに着いた時も通ったけどゆっくり見てなかったからねー
映画のセットじゃなくて生の城下町ですよ!
わくわくウキウキしながら見渡してたら顔を真っ赤にした松寿丸に手を繋がれました
放って置いたら勝手に迷子になりそうだからだそうです、はいすみません
後ろで付き人二人が溜め息吐いてます、ごめんね鈍臭くて
小物屋さんを物色してお土産買ってたら店主さんに
小さい恋人だねーみたいに茶化されて。
いやいや・・・私は就様ファンに殺されたくないよ?
と思いつつ美味しい茶屋さんを教えて貰ったのでそこで休憩を取る事に。
「…」
何故私が黙してるかというと、この目の前の可愛い生き物・・・基、松寿丸。
美味しそうな餅菓子を目の前に目をキラキラさせています
撫でていいですか、この子。
あ、見つめ過ぎたかな、恥ずかしそうに睨まれたので私も餅菓子を頬張る
んむーもちもちでうんまぁ
程よいつぶ餡の甘味が絶妙です。
黒羽と雹牙は茶だけでいいそうで、私達の傍で寛いでる様子。
「…市は何の目的で父上を訪れたのだ?」
もぐもぐと、手にある餅を食べきろうとした時にふいに松寿丸に問われた。
「只の文ならば何時ものように忍を使えば良いのに
今回は市が遣いとして参った、その意図は何だ?」
やっぱり鋭いとこを突きますね。
将来知将と謡われるだけの才能を間近で見られて光栄です
「弘元様、お酒が止まないのは御存じ?」
そう聞くと松寿丸の片眉がピクリと跳ねた
「まさか其方」
「そう、市は兄さまの代わりに弘元様のお酒癖を止めに来たの」
どうやって止めようかまだ決めて無いんだけどね、と言って最後の一口を頬張ったら
「その件について我に策がある」
「…(もぐもぐ)」
とても良い笑顔の小悪魔がそこに鎮座してらっしゃいました。
黒羽と雹牙も若干冷や汗をかいたそうです
私はキミの将来が心配でたまりませんよ・・・
杞憂に終わるんだろうけど
