第1章 幼少期
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んじゃ、あとはお若い者同士宜しくという風に去ってった弘元様
見送って残されたは気まずい空気な子供2人。
あ、そういや挨拶していない
「挨拶が遅くなってごめんなさい、織田信長の妹、市と申します。松寿丸さま」
「・・・松寿丸だ」
やはり気まずいなと思いながら何となく松寿丸様の手元に目を向けると書物が半開きになって持たれていた
ん?これ何か兄さまの部屋にあったのと似てるな・・・
「それ、兵法書?」
「よく解ったな」
松寿丸様は意外だと言わんばかりに目を見開いてこちらを見つめてきた。
普通の姫はそんなもん読まないもんねぇ
読んだ所で十かそこらの子が理解できる内容じゃないだろうし
「兄さまの部屋に、多分同じ物だと思うけど・・・
その本があって、市も読んだの」
「そなたは其れが理解できたのか?」
「多分?」
「・・・何故疑問系なのだ」
「だって・・・人に依って、捉え方はそれぞれだと、思うから」
「・・・」
ぬ、何か気に障ったかな
突然黙って何かに考える松寿丸様のお顔を覗き見る
幼いながらもちょっと吊り目で、端正な顔立ち
将来は美人になりそうです、羨ましい。
焦げ茶に近い黒い髪はサラサラです
お手入れってどうしてるんだろう・・・