第1章 幼少期
はて、私の様な小娘に何を頼む気でいらっしゃるのかな弘元様?
何やら判らずコテリと傾げると
「市姫と同じ年の頃の息子が居てな、
家臣にも年が近い子は居るには居るんだが・・・
まあ、少々息子のクセが強くてな」
あー・・・うん、弘元様色々濁してるけど私解ったかも。
「ご子息様と、お友達になれば、いいの?」
「受けて頂けるか?」
ふんわりと弘元様の顔が綻ぶ
「松寿丸と言ってな、まずは会ってくれぬか?」
「市もお友達が出来るのは、嬉しい」
弘元様って優しいお父さんなんだなあって
改めて思った。フラグ回収に腕がなるってもんです
弘元様に着いてって長い廊下を歩いて行った
因みに黒羽と雹牙は忍なので影警護として居て姿は見せていません。
「松寿丸、入るぞ」
とある一室の前に止まった弘元様は
中の気配を確認し声を掛け襖を開けると
私と同じ年の頃の、だけど年齢に似通わなく落ち着き
鈴とした少年が鎮座していた
その少年は突然現れた父とその背後に立つ私を一瞬だけ驚いた様に見た後はもう元の顔に戻っていた
「父上、如何様な用事で?」
「何、用も無しに来てはいかぬ事も無いだろう」
「失礼ですがそちらの姫君は?」
「友人の妹君でな、態々書状を届けて来て貰った
済まないが滞在中相手をしてやってくれまいか?」
むくむくと微笑んで告げる弘元様の言葉に松寿丸様が一瞬眉を寄せた
うーん、君の気持ちは理解できなくもない
同姓ならともかく異姓の、しかも無知そうな
どこぞの姫の面倒なんて聡い松寿丸様なら嫌でしょうに
弘元様は何を考えてるのかしらと若干遠い目になったとさ・・・