第19章 赤と青
時は遡ること5時間程前。
マルコはジュエリーショップで購入を終え、店を出た。
「ナツキ...?」
店先に居る筈のナツキが居ねぇ。
近くの店にでも入ったのかと近隣5店舗を回って見ても姿は見えねぇし、そんな子見かけなかったと店主は言う。
「どこに行ったんだよぃ」
胸に、嫌な緊張感が芽生える。
あのナツキが勝手に行動するとも思えねぇが、船に戻った可能性もある。
その僅かな望みを掛けて、船へと飛んだ。
「ナツキは居るか!」
「なんだよ、マルコ。
ナツキとはぐれたのか?
悪いけど帰って来てねーぞ」
エースが言う。
「帰って来てねぇ...?」
「マルコ、ナツキちゃんと一緒じゃねぇのか?
街に女の子1人置いて来るバカが居るか!
ナツキちゃんに何かあったらどうするんだ」
サッチが低い声で怒鳴る。
「いや、それがナツキが居ねぇんだよぃ。
ちょっと目を離した隙に...」
「!また、ナツキから目を離したのかよ!
何してんだ、マルコ。
俺ナツキ探して来る!」
「おい、エース待て!」
サッチの静止も聞かず、船から飛び降りたエース。
また、か。
エースに言われた言葉が胸に突き刺さる。
確かに俺はナツキから目を離してばかりだな。
そしてその度傷ついて帰って来る。
2度とそんな思いはさせねぇって誓った筈なのに。
「今は後悔してる場合じゃねぇぞ。
皆で手分けしてナツキちゃんを探すぞ」
サッチに背中を叩かれ、俺も船から降りた。