第19章 赤と青
マルコが宝石に興味があったなんて知らなかった。
自分で身につけるのかな。
マルコがアクセサリーつけてるところなんて見たことないけど。
そんなことを考えていたら背後から近づく気配に気がつかなかった。
「ぐッッ...」
ガン、と響く鈍い音。
目の前で閃光が瞬いたように、視界が真っ白になる。
そしてそれはすぐ、暗転した。
突然の事で何が起こったのか、全く分からなかった。
「ッッ......」
意識がゆっくり浮上し、目を開けた先に見えたのは檻。
違う、檻が目の前にあるんじゃなくて、中に居るんだ。
檻の中に。
辺りを見回してみても場所の手掛かりになりそうな物はおろか、脱出すら難しそうだ。
どうしてこうなったんだっけ...?
思い出そうと目を閉じれば鈍い痛みが頭に走った。
そうだ、あの時後ろから誰かに殴られたんだ。
そのことを思い出すと、自分の手首が拘束されていることに気づく。
幸い海楼石ではなさそうだけど、鉄製の手錠を外す腕力はない。
「なんとか皆に場所を知らせないと...」
立ち上がろうとした瞬間、遠くから人の声がして慌ててまだ起きていないフリをした。
「おら、とっとと歩け、ジジイ」
「これこれ、年寄りを乱暴に扱うんじゃないよ」
背中から聞こえる音に、気配に、神経を研ぎ澄ませる。