第27章 epilogue
ルキは病室のベッドで、あの時のことを思い出す...
彼女の最期は病ではなく、年齢的なものだった
歩くのがしんどくなってきた頃には、車イスをおしながら公園を散歩して回った
ルキも同じくらい歳を重ねていたので、時折人間とは不便だなと思うこともあったが、彼女の笑顔を見ると老いの痛みにも耐えられた
車イスをおす男性が昔はヴァンパイアだったなんて
とても思えないくらい人間らしく
通る人から見ても素敵な老夫婦だった
そして、弱っていく彼女を見て眠れない夜もあった
目覚めた時、彼女が起きなかったら...
そう思うと目を閉じるのが怖くなった
ユイもこのままいけば彼を一人にしてしまうことを分かっていた...
そして兄弟で一番臆病なのが
彼だということも...
ある時ユイは俺に言った
「ルキくんはもう人間だよ
もし私が先に逝ったとしても、この世界に失望しないで
あなたの人生は私だけのものじゃないから」
「!」
実はルキは自分の知能を使って、身寄りのない子供達に勉学や生き抜く術を教えていた
役場の人からも頼られる存在となり、積極的に孤児院の環境改善にも努めていた
そのため、恩師である彼の家に訪ねてくる子供たちも多かった
ユイは、ルキの人生は自分だけで終わるものではないことを伝えたかった
ユイが逝っても彼の側にはたくさんの人がいて、彼はその中で生きていく
ルキの目尻には涙がにじんでいた
少し俯きながら彼は言った
「.....俺はあの日から、お前と共に人間として生きてきたが、
きっと心まで人間になりきれてなかったのだろうな...
孤児院の子供達も、役場の人間も、
そして、お前も...
人間とは強い生き物だな」
ユイは静かにルキを抱きしめた
「ありがとう ルキくん
みんなが人間に戻る道を選んでくれて、一緒に同じ時間を過ごすことができて
私も本当に幸せだったよ」
抱きしめ合う2人の側には、
コウ、ユーマ、アズサの姿が見えた————