第27章 epilogue
「あの時から...
本当に空がきれいだね...」
彼は心から満たされたように微笑む
次の日の朝、アズサは寝室から起きてこなかった
心臓の病だった
今思うと、彼は何かを悟っていたのかもしれない
今でもアズサのあの笑顔が忘れられない
ヴァンパイアでの人生のほうが圧倒的に長いにも関わらず、
人間として過ごしたこの数十年はとても濃厚で満たされていた
悲しみと共に、アズサが幸せに生きてくれたことに
兄として本当に嬉しかった
そして、とうとう2人だけになってしまった食卓を囲みながら、ルキはふとユイの顔を見る
ユイの表情は悲しげで、涙を堪えているようにも見えた
ルキは食事の手を止める
「ユイ...
少し昔の話をしてもいいか?」
ユイは顔を上げ、静かに頷いた
「俺たちはヴァンパイアとして、とても長い時を過ごしていた
途方もなく、終わりのない空間に取り残された気分だった
そして、それはお前に出会ってからより感じるようになった」
ルキは目を閉じる
「俺たちが一番恐れていた事...それは愛するお前に先立たれることだ」
「!」
「ユーマもコウもアズサもお前に看取られて逝けたんだ
人間として終われたことを心から感謝していた
置いていかれるほうはたまったものではないだろうが、男は身勝手なんだ」
ルキはくすっと笑う
「それなら...私は長生きしてルキくんのことも見送らなきゃいけないね」
「!!」
思いがけないユイの言葉にルキは戸惑いを隠せなかった
軽く目を閉じ、彼女の手に自分の手を重ねる
ルキの手は温かかった
「安心しろ...お前を1人にはさせない
ユイ...俺たちとの人生を選んでくれて本当にありがとう」
テラスのカーテンが爽やかに靡く
ユイの瞳には涙が浮かんでいた
それから5年後....
彼女は安らかにルキに見送られながらこの世を去った