【ハイキュー!!】happy ignorance R18
第5章 uncomfortable fact
それから、皐月は不思議そうにしながらも皐月の家で月島と及川さんが会ったことを教えてくれた。
「そう言えば、その時から蛍君の様子が変わっちゃって…。」
考えるまでもなく、及川さんが原因だ。
何で皐月はわかんないんだよ…。
そう思って、金田一の言葉を思い出す。
「お前も噂くらい聞いた事あるだろ!?及川さんと皐月さんが付き合ってないって。あれ…本当だったんだよ。なんか…及川さんが皐月さんの事騙して…その…そういう事してるみたいで…。」
皐月は及川さんに騙されている…。
そう思って、ゴクっと唾を飲み込んだ。
言わないといけない…。
皐月が本当に心から笑えるためには…真実を知らなきゃいけない。
でも、その真実は皐月を深く傷付ける可能性がある。
いや、可能性ではない。皐月は深く傷付くだろう。
「お前…中学の頃、部室で…その…及川さんとキスしてただろ?」
自分の言葉が震えている気がする。
皐月は、何故俺が突然こんな話をし始めたのか、全くわかっていない様子だ。
「う…ん。影山君見てたの?」
皐月が寄越したのは少し非難のこもった視線だ。
「あんな所で…あんな事してる方が悪い。」
「でも、徹とは幼馴染だし…普通でしょ?」
人の事に対して鈍いと日向に言われる俺でも、今のでパズルがピタッとハマるように全てが理解出来た。
及川さんはキスや…きっとそれ以上の行為を、幼馴染同士で普通に行うものだと皐月に教えているのだ。
そんな事が…可能なのか?
中学で孤立していた彼女を思い出し、彼女が自ら真実に気付けた可能性は低い事を思う。
そして、皐月に手を出したらただじゃおかないと言い残して中学を卒業した時の及川さんの笑顔を思い出して、背中に冷たいものが流れる。
「幼馴染は…そんな事しねぇ。」
「…え?」
声が無意識に小さくなる。
皐月が傷付くのが怖い…。
でも…皐月を守る為には、俺が言うしかない。
「幼馴染同士でそんな事しないんだよ!お前らがやってるのは恋人同士でする事なんだよ!」
今度はハッキリと伝えると、その勢いにビクっと跳ねる皐月の肩が見えた。