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【ハイキュー!!】happy ignorance R18

第5章 uncomfortable fact


side 影山 飛雄

何がどうなってるのかはわかんねぇけど、皐月が悲しそうにしてるのはわかる。

それが月島のボケと…たぶん及川さんのせいだって事もわかる。

だからって、何をしてやればいいのかは…わかんねぇ。

そんなムシャクシャした気持ちを振り切るように黙々と走ってみるけど…結局走ってる間中頭に思い浮かぶのは皐月の事で…。

だから、真っ暗な公園に皐月を見付けた時は、やべぇ。ついに幻まで見え出した。とか思ってしまって…それでも、その幻に近付いたのはあいつが1人で泣いてたから。

手の届く程近くまで行ってから、それが幻なんかじゃなく皐月なんだって気付いた。

そして、俺の見間違いじゃなく、皐月が泣いてる。
しかも、こんなに暗い公園で…1人で。
そう思うと、いてもたっても居られず、顔を覆う皐月の腕を掴んでから、我に返る。

「影山…君。」

そう言ってこちらを見た皐月の顔は涙でびしょ濡れで…こいつ、どれくらい1人でここに…そう思うと、腕を持つ手に自然と力が入る。

普段の皐月なら…俺の知ってる皐月なら、すぐに自分で涙を拭って、取り繕うだろう。
「ごめん!何でもないの。」と。

だから、あまりにも現実離れしていて咄嗟に反応出来なかったんだ。

「ごめんなさい…。少しだけ…こうしてて。」

俺の胸に飛び込んで、カタカタと小さく震え、泣き続ける皐月に。

しばらく呆然とした後に、皐月の髪の毛の匂いが鼻腔を擽り、それで我に返る。
いい香りに反応していまい、自分でもカッコ悪いくらい赤くなってるのがわかる。

良かった…皐月が下向いてて。
ってか、俺ランニングの途中だったんだぞ…汗とか…。

大丈夫だろうかと、視線を下げて皐月の泣き顔が目に入った瞬間、汗がどうだ…とか、さっきまで考えてた事がどうでも良くなる。

「なぁ…何があった?泣くなよ…。」

ゆっくりと皐月背中に手を回せば、先程より彼女の震えが伝わってきて…そんな彼女がいつもより小さく見えた。

そして今にも消えてしまいそうな、腕の中の皐月を強く抱きしめた。
泣き止んだくれよ…祈るようにそう思いながら。
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