【ハイキュー!!】happy ignorance R18
第5章 uncomfortable fact
それから皐月は俺の腕の中でポツポツと、ここ数日の事を語り出した。
途中、お家で2人で勉強会だとか、告白しようとしたとか、聞き捨てならない話も出て来たけど、
要約すると勉強会の日に突然帰ってしまった月島は、それ以来、今のような態度になり、何が気に障ったのかわからない…と。
「理由を聞こうと思っても…全然話してくれなくて。それどころか、こっちを見てもくれなくて…私、だんだん話しかけるのも怖くなってきて…。」
皐月の瞳からポロっと涙が零れ落ちる。
指で拭おうとして思い留まり、先程の様にチュッっと唇で舐め上げる。
他の男の事なんかで泣かないで欲しい。
俺なんか眼中に入ってないんだろうから、そんな思いは行き過ぎた物なのかもだけど…他の男の事で泣いてるなら、せめて笑わせるのは自分の役目にしたい。
まぁ眼中に入ってないって意味では、もう1人、皐月に完全にスルーされてる奴がいる。
「なぁ…その勉強会の時さ…何か変わった事は無かった?例えば…誰か他の人に会ったとか。」
答えがわかってるからこその誘導尋問。
「他の…って、徹?途中から家に来て、一緒にお茶をしようとして…でも、結局蛍君が帰っちゃったので…2人はほとんど話してないですよ?」
ここまで見事にスルーされるとは。
…ちょっと及川の事が気の毒になって来た。
しかも、ほとんど話して無いって…俺ならそんな修羅場では、出来れば一言も話したくない。
「そっか…。じゃあ、その幼馴染が原因かな。きっと仲のいい2人に腹が立ったとか。月島も大人ぶってるけど、まだまだお子様な所があるしな。」
「えっ…でも…幼馴染ってそういうものですよね?」
そういうもの…ねぇ。
皐月の非常識とも言える認識の根深さに、思わず黙り込むと、何を勘違いしたのか、皐月がガバっと顔を上げた。
「って…すいません。私…菅原さんとの事もちゃんと考えるって約束したのに。こんな、蛍君との事ばっかり相談して…。」
俺のスルーされ具合も及川に匹敵するなぁ。
皐月本人に自分の立場を突き付けられて、少しイラっとした。
皐月が上を向いたのをいい事に、感情のままに唇を重ねる。
さっき気を引く為にしたような軽いやつじゃなくて、皐月を感じさせる為のとびきり濃厚なやつを。