第5章 終局
術式解除の開始にはまだ何日か要りそうだが、ここに来てようやく、私のチート(人外並みの潜在能力)設定が活きてきた!
魔術の勉強が進む進む。水系の魔術も初歩の初歩程度なら、楽に使えるようになった。
最も我流も良いとこなので、後で死ぬほどの矯正が必要になるらしいが……とにかく今は助かってる。
枯れ葉を焚くがごとくの習得スピードに、クラウスさんも明るい笑顔(怖い)を見せることが増えてきた。
「君に教えていると、学生時代を思い出す。新たな気持ちでまた学び直すことが出来るのも、君のおかげだ」
さよか。
私はクラウスさんに妨害されつつ、タブレットを取ろうとジタバタした。
「まだ読んでる途中! 返して下さい!」
「何度も言っているが休みたまえ。それに残念ながらこのタブレットの所有権は私にある」
私の手の届かないところまでタブレットを持ち上げつつ、クラウスさんは笑う。
私の足が悪いと思って!
ちなみに私の足は未だに悪いままである。感覚はあるし痛みもないのに、上手く動かせない。移動するときは、クラウスさんに抱っこされてる。
「クラウスさん~」
タブレットを返してくれないクラウスさんにブーイング。
「眠りたまえ。君の睡眠時間の少なさには危惧を覚える」
私を脇の下に挟みつつ、タブレットをいじり出した。
くそ! ぎゃふんと言わせたい!
「そう言って、実はエッチな本をこっそり読んでるくせに」
「……なっ!?」
え? カマかけただけなのに。クラウスさん、タブレットから顔を上げ、真っ赤になって動揺してる。
「な、なぜそれを! パスワードはちゃんとかけたはず!」
マジか。マジでエッチな本を入れてるのか。
「ショックです。私という者がありながら。そりゃ、私はガキかもしれませんが、求めていただけるなら多少激しいプレイでも良いのに……」
よよよ、と袖で涙を拭くと、
「ち、違うのだ、カイナ!! 私の身体と比して、君はあまりに小さくか弱い。
だから、その、君に負担が少なく互いに絆を深められる方法をと……」
なら何もせず、手ぇつないで寝りゃいいでしょうに。
あたふたする大人を前に呆れてため息をつく。
「……ところで激しい営みにも応じてくれるという、さっきの話は本当かね?」
やかましいわっ!!