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【血界戦線】紳士と紅茶を

第4章 異変



『×××地区にて、空中からの爆弾投下による、複数箇所の爆発が連続的に発生中です。
 現場では爆弾内部より巨大生物の出現を確認。市民を補食しながら数を増殖させており――』

 私の位置からはテレビは見えないけど、爆音や人の悲鳴は聞こえた。
 
 スターフェイズさんはため息をつき、
「この前、片付けたテロリストどもの悪あがきかな」
「あの生物は小回りが利き、数が増えれば殲滅は困難。初期段階で封じ込めねばヘルサレムズ・ロット中で増殖し、一般市民に大規模な被害が出る――行こう、スティーブン!」
 クラウスさんは立ち上がる。
「はいはい」 

 クラウスさんは私を振り返ると、少し姿勢をかがめた。
 私が、起き上がろうとしていたからかもしれない。

「君はここで寝ていてくれたまえ」

「あの、私を連れて行けば、お役に立てると思います……私、実は『不死』の能力があるんです。
 だから危険な場所に突っ込ませて、術式魔方陣の解除とか囮とか弾よけとかに――」

「必要ない。養生してくれたまえ」

 私の頭を撫で、立ち上がる。
「ギルベルト。彼女を頼む」
「おまかせ下さい。お坊ちゃま」
 あ、ギルベルトさんだ。ずっと控えてたのか。
 存在感が薄すぎて気づかなかった……包帯ぐるぐる巻きなのに!
 
 そういうわけで、クラウスさんとスターフェイズさんは出かけてしまった。
 静かなオフィスに、私とギルベルトさんだけが残される。

 …………。

 な、何か気まずい。

「カイナさん、そろそろ点滴が終わったようですな」
 ギルベルトさんが来て、私の点滴を手早く外してくれる。
「どうもすみません、ギルベルトさん。あ、もうベッドに寝てなくて大丈夫です」
 点滴で水分補給されたせいか、元気いっぱいだ。
 ……いや、元気いっぱいじゃない。盛大に腹の虫がなった。
 あたた。何かずっと食べてないみたいにお腹の調子が悪い。
 おかしいなあ。私、何日も食べなくても大丈夫なのに。

「お待ち下さい。今、ココアをお入れします」

「あ、大丈夫です。草食ってればいいんで。そこの観葉植物、葉っぱを何枚かむしって良いですか?」

「どうかそれはご遠慮を。坊ちゃまが種から育てられたものですので」

 やんわり断られた。そんなー。

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