第4章 異変
濡れた箇所を拭くがクラウスさんは開き直ったのか、私を抱きしめ髪に口づけてくる。
「どうか許してくれたまえ。君に心から詫びたい。だが己の衝動を抑えきれなかった」
私は半分あきらめつつ、説得した。
「クラウスさん、寝た方がいいですよ。連続で夜明けを迎える気ですか? 私だって疲れが――」
と言いつつ、自分で首をかしげる。
やっぱり……疲れてない。コタツで回復? まさか。
だがクラウスさんは『やはり』という顔をした。
「すまない、カイナ……もっと早く気がつくべきだった……」
ん? 空気が少し変わった。
クラウスさんの顔が怖い。私を抱きしめ、肩に――。
「い……痛いっ! クラウスさん、痛いです!!」
牙を立てられ、暴れたけど離してもらえない。
クラウスさんは昨日と同じ場所に――ん……?
そういえば肩の傷……。
「やはり堕落王は、君を素通りしたわけではなかった。
奴に会った際、君は最低一度は殺されている」
……え。
そうだ。肩の傷がきれいになっていた。
全く気づかなかった。だから疲れもリセットされていたのか。
記憶にないのに。ゾッとする。
「カイナ……」
「ちょっと、ちょっと待って!」
再度、私を押し倒そうとするクラウスさんを、どうどうとなだめる。
「じゃ、余計にエッチするのは不味いでしょうが! あの仮面野郎が私に何をしてるか!」
「だからこそだ。君の身体に何か異常はないか、調べる必要が出てきた」
……大真面目であった。
大真面目に私の服を脱がせ始める。
「…………」
睡眠プレイに身体検査と、二回目にして段々マニアックな方向に行ってやしないだろうか、私たち。
クラウスさんはいずれ、良家の子女とご結婚されるんだろうが、私のせいで変な性癖がついちゃったらどうしよう。
でもしつこいくらいに、何度もキスをされるのは嫌じゃない。
私を一心に求めてくれるのも本当は嬉しい。
だからクラウスさんの太い首に抱きつき、キスに答える。すると彼は思い詰めたように、
「カイナ……頼みがある……」
「もちろんいいですよ、クラウスさん」
するとかなり沈黙があり、
「その……私の……その、×××……を、な、舐めて、もらえないだろうか……」
身体検査、全っ然関係ねぇっ!!