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夢の詰め合わせ

第1章 先生と姉


ガチャリ。
リビングのドアを開けると銀八が忙しなく身支度をしていた。

「おはよ」
「おう、今日は早ェのな」
「ん。銀八、ごはんは?」
「そこにあんだろ!自分で焼け!」

テーブルには食パンが袋ごと置かれ、マーガリンとイチゴジャムも添えられていた。

「銀八コーヒーは?」
「自分で煎れろ!」
「・・・出掛けんの?」
「そーだよ!見て分かんねぇのか!!」
「あー・・・デート?」

姿見でいつも以上にうねる髪と格闘してる銀八を見てふふっと笑った。
そんな彼は私を一睨みしてまた鏡越しの自分と向き合う。

「がんばってね~」

対面キッチンに移動して電気ケトルに水を入れスイッチを押す。
その間にパンを二枚、トースターへ入れてダイヤルを回す。
色違いのマグカップにインスタントコーヒーを入れ、白いカップにはハチミツとクリープをたっぷり入れてた。

~♪
~♪

鼻唄を歌いながらそれぞれのタイマーが切れるのを待つ。

「おい!コンタクトの洗浄液知らね?!」

洗面所へ消えたはずの銀八がぬっとこちらへ顔を出した。

「あ、ごめん。昨日買い忘れた!」
「マジかよー!え、俺眼鏡で行くの?!」
「いーじゃん、眼鏡がデフォでしょアンタは」
「うっせー!デートの時くらい外してぇんだよ!」
「コンビニで買ってけばー?」
「着けてる時間がねぇし、今日はバイクなんだよ」
「なに?今日は山?」
「そ、絶好のツーリング日和だから。コンタクトが良かったのに・・・」

ケトルのスイッチが切れる音とトースターのタイマーが同時に鳴った。
マグに湯を注ぎ、皿にパンを乗せてテーブルまで運び、向かい合わせに並べた。

「出来たよ、ごはん」

サッと椅子に座り向かいに座る相手を待たずに食べ出す。
結局髪を直すことを諦めたようで、いつも通りの銀八がリビングに戻ってきた。
そして当然のように私の向かいに座りパンを口に運ぶ。

「今日は遅いの?」
「ん。夕飯は要らねぇから」
「朝帰り?」
「いや、明日やることあっから」
「ん。」

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