第25章 一息
「武装探偵社に梓弓章が授与されたようだよ」
「ふーん、興味無いですねぇ。え、真逆、欲しいんです?」
「ふふふ、真逆」
冗談が上手だねえ、と笑う森。
その間に、紬は目線を上にあげ、考える。
「……成程、『魔人』の次の一手は、政府を利用している可能性があるということか」
「矢張り、そう思うかい?」
「相手は『昼』の連中ですから、『夕』の探偵社の事をよく思っていない連中も居るでしょう。ーーーこれだけ世間を賑わせれば、転覆の台本としては最高です」
「台本ねぇ……やられっ放しは癪に障るのだよね」
「では、どのように?」
森は口元に手を当てて、ふむ、と考える。そして、ぽん、と手を叩いた。
「我々が探偵社の味方をする、という台詞を追加するっていうのはどうだい?」
紬はまたもや視線だけを天井に移し、考える。
そして、
「ーーー成程。手配します」
森の意見に賛同するのであった。
森が部屋を退室して暫く経った頃、紬は森が来る前と同じ様に背凭れ椅子に先程と同じ姿勢で座り、通信端末を操作し始めた。
数回のコールの後に、出たのは自身の片割れだ。
「やあ、様子は如何だい?」
『ずっと付回されていて疲れるよ』
はぁ〜〜〜〜、と溜息交じりに返す太宰。
『でも、それももう終わりかもね』
「何か切掛が?」
『素人から玄人に代わった、ってところかな』
「……そう。成功した暁には直ぐに手配しておくから」
『うんーーー皆を、宜しく』
「首領の命令だからね、仕方なく引き受けよう」
『あはは、そう云わずに』
そう云うと、通信を切った。シン、と部屋が静まり返る。
「……取り敢えず逃走経路と潜伏場を探偵社員全員分確保するところからか」
紬は大きな溜息を吐いたあと、通信端末を操作し始めたのだった。