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【文スト】対黒・陰

第25章 一息


紬が『本』を入手してから更に二日後ーーー


本部の修復も完全ではないものの、ある程度の落ち着きを見せていた。
紬は首領の部屋に居た。
其処には、ポートマフィア首領、森鷗外の他に尾崎紅葉も居る。


「此れで終わりなら話しは簡単なんだけどねぇ」


首領の呟きに、紬は無言で茶菓子を口に運んでいる。


「まだ何か起こると云うのかえ?」

「起こるだろうね。我々をあそこまで追い詰めた彼だ。このまま大人しく処刑されるとは思えない」

「……。」


無言ではあるが、紬も森と同意見だった。
あの「魔人」が、理由なく捕まったりするわけは無い、と。


そんな話をしているときだった。


カッ!

「「「!」」」

テーブルの茶菓子の横に置いていた『本』が眩い光を放つと、

「痛ッてぇ!」

ドサッという音ともに、男が急に現れたのだ。
その男に、注目する3人。しかし、警戒は一切していなかった。

「やっと出られたの…か…?」

注目された男、中原中也は3人の視線に気付き、そして、


「首領、御無事でしたか!」


バッと最敬礼をして無事を讃えた。


「お帰り、中也君」

ニコッと笑って労う森が顔を上げるように云う。
その通りに顔を上げると、次に中也の目に入ったのは呆れた顔をした紬の顔だった。


「……終わったのか?」

「見ての通りだとも、役立たずの中也君」

「ぐっ…!」


嫌味たっぷりの紬の言葉に反論できない中也。
紬の圧に負けて自然と正座する。


「抑も、何故、非戦闘要員が前線に出てきているのに戦いに挑むかなぁ??相手は武装探偵社の頭脳。なーんにも策無しに戦闘民の中也に戦いを挑むわけ無いじゃないか。ちょーっと考えたら判る事でしょ」

「返す言葉も見つからねェ……」


紬の嫌味はまだ続く。


「どうせ易い挑発にでも乗ったんでしょ」

「うっ……」

ジトーとした目で見られ、図星を突かれた中也は汗ダラダラで紅葉の方をそろりと見た。

紅葉と森は、2人のやり取りを微笑みながら見ていたが、そろそろ中也が可哀想に思えてきたのだろう。


「そのくらいにしておやり、紬」


助け舟を出した紅葉。

紬は態とらしく、はあ〜〜〜〜と長いため息を吐いた。
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