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甘々生活一端集【Free!/R18】

第5章 水色の違い【竜ヶ崎怜】


彼の顔に目を向けてみる。


怜は少し驚いた様に目を見開きながら私を見つめていた。


その様子が不思議で小首を傾げてみると、彼の目が輝きに満ちてきた。



怜「はい!是非、紹介させて下さい!遙先輩自身は、あまりいい顔はしないかもしれませんが……先輩の泳ぎを見れば、きっと空さんも惹かれるはずです!」



私の手を掴んでずいっと顔を近付けて語る彼。


その勢いに半ば圧倒されるけれど、やはりそこまで怜が入れ込んでいるのだから、俄然興味が湧いた。


でも、一つ訂正しなければならない事がある。それは………



空「ふふ、ありがと。……でも、私が惹かれるのは、怜だけで充分だよ。」



そう言って微笑むと、彼は一瞬固まり、みるみる顔が紅く染まるのが見てとれた。


そんな顔をされると、こちらも気恥ずかしくなってくる……


怜「……僕も、空さんをもっと惹くような泳ぎを研究しなければなりませんね…」


そんなことを呟く彼。


別に、研究までしなくていいと思うけれど……そういう所が彼らしい。



空「そこまでしなくていいけど……いつか絶対、上達した泳ぎ見せてね」


そう言って彼の手を握る。


怜「…!……はい、絶対」


私の手を握り返しながら微笑む彼は、いつもよりずっとカッコよく見えた。



それからは私の家に着くまで手を繋いで歩いた。


家の前まで来ると、彼を振り向く。


微かに残る青空に彼の髪の色がとても似合っていた。


空「今日もありがと、怜。研究、頑張ってね」


そう言って微笑む。彼も微笑み返して


怜「えぇ、ありがとうございます。尽力しますね」


と宣言した。


少し名残惜しく手をするりと離して手を振って別れた。


玄関の扉を開ける前に、一度に振り返って彼の後ろ姿を見た。


その背中は、出会った頃よりずっと大きく見えた。


(……私も、陸上頑張んなくっちゃ)


青空の色と、水の色。


微かに違うのかもしれないけれど、どちらも雄大に私達を包み込んでくれる。



その色に甘んじて、私達は共に歩んでいきたい。


《Fin》

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