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甘々生活一端集【Free!/R18】

第4章 淡い気持ち【山崎宗介】



(何で、そんな睨まれてるんだろ…やっぱり迷惑だったのかな)


それもそうか。年頃の男子が『ただの幼馴染み』である女子に毎日学校に通われるなんて、いい気分ではないだろう。


『彼女』かと周りに問われたり、囁かれたりするかもしれない。



やっぱり、私じゃ……



空「…ごめん、迷惑ならもう見に行かないよ。」


顔を見られないように前を向いて歩き出す。



彼は、私の微かに震えていた声に気付いてくれただろうか…




とその時、不意に手を掴まれて後ろへ引っ張られた。


何事かと理解しようとしていると、彼の温もりに包まれた同時に…



ライトを付けた車が、私たちの真横を通り過ぎて行った。



彼が手を引いてくれなかったら、私は…



宗介「っぶねぇな……ぼーっとしてんな」


語気を強めて言われると、思わず項垂れてしまう…


空「ごめん……助けてくれてありがと。じゃぁ、もう離し…」


宗介「離さねぇ」



彼の言葉に耳を疑う。



『離さない』?どういう事だろうか……



宗介「…お前が、『幼馴染み以上』になるまで…離さねぇ」



えっと…それは、つまり……



宗介「………俺と付き合え」



長く間をもって紡がれた言葉は、私の周りに流れる時間を一瞬だけ止めた。


すぐには信じられない、幼馴染みからの言葉。



でもそれは………私が一番、欲しかった言葉。


空「……何でそんな、命令口調なの」


一番欲しい言葉が言われると、肩の荷が降りたように気分が軽くなって、笑える余裕が出てきた。



宗介「うるせぇな……俺が不器用なのは、空が一番分かってんだろ」


さっきのものとは裏腹に、優しさを含んだ言葉。


その言葉を聞いているのは、私だけ……



空「まぁ、そうだけど……仕方ないなぁ、付き合ってあげますよ」


わざと呆れ気味に言ってやると、彼は意外にも驚いた顔でこちらを見た。


不思議で首をかしげてみると…


宗介「いや……お前がうちの学校に来るの、好きな奴がいるからかと思ったから…」


…なるほど、彼は彼なりに不安だったらしい。


そんな馬鹿みたいなこと、聞かなくていいのに。


空「私が好きなのは、宗介だよ」



《Fin》
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