第1章 プロローグ
とにかく、黒。
右と左も解らなければ、上と下も解らない。
手を動かそうとするが、視界に映らない。
…なんだ。これ。
頭は意外に冷静だった。
あっそっか…これが死後のセカイっていうやつか。…
そこで、ふと、声が聞こえる。
『生き帰りたいか。月山下科。』
下科はそれに答える。
「…。私はいいや。それより、みんなを…夏世と零人、芹のみんなを生き帰らせて。」
『?自分はいいのか?』
「うん。みんな、私のせいで死んだから。」
『つまり、お前はあの4人に謝罪したいと。』
「謝罪しても済まされないから、言ってんじゃん。」
『ははっ。そういうことか。分かった。
目を見開け月山下科。そうすれば4人に会える。しかし、いつかはお前の左手をもらうぞ。』