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アンニキリメント時代

第1章 プロローグ


小さい頃の記憶。

突き抜ける様なあおい空。風が吹いて芝生を、ゆらし頬を撫でる。
仰向けになって空を見つめる。
荒い息をしながら手を太陽に向かって伸ばした。
ああ…。血がたりないんだな。
手を伸ばした少女、月山下科は思う。
ついさっき、人に化けていた狐が刃物で何回も斬り付け、蹴飛ばした。その後、激しく吐血し今にいたる。
このまま死ぬのかな…。
そう思っている間も血はどくどくと流れ辺りを染める。
せめて,迷惑をかけた隣に居る詰め襟の制服を着た少年にあやまろうと、首を傾ける。
「ねえ。零人。」
零人と呼ばれた少年はこちらに背を向けて横になている。下科と同様血だらけで。
「何?…。」
「ごめん…。私のせいで……零人まで…こんな目に合って…。」
背を向けているため、どんな顔をしていか解らなかったが優しい声で言った。
「別に…。下科の……の…せいじゃ…ないから…。」
「…。」
「あ〜。そろそろやばいかも…。」
うそ…。
「あのさ…。僕…。」
やめて。
「下科に……。」
やめてよ…。

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