第1章 前編 時の彼女と死の外科医
(うーん、ここだとよく状況がわからないなぁ。まぁ原作通りだとここにルフィが落ちてくるはずだから、それと入れ替わる形で登ればいいか!)
ユーリはその辺にあった瓦礫に腰を掛けると、来るべき時に備えた。
「やほ~久しぶり」
そして何時かの時と同じように、ものすごく自然と妖精に声を掛けられた。
「……どうも」
流石のユーリも2回目はそこまで驚かなかったが、言いたいことが色々あったので素っ気ない対応になってしまった。
「あれ?なんか元気ない?」
「いや、元気はありますよ。それよりも何しに来たんですか」
ユーリは周りをクルクル移動しながら様子を伺っている妖精を手で払いのけた。
もう少しでユーリがこの世界に来て一番、いやかなり重要な山場を迎えるんだから邪魔しないで欲しかった。
なぜ一番重要じゃなく、かなり重要と言い換えたのか。
それは、ローとルフィのやり取りを見ることのほうが、一番重要だったからだ。
……いい加減そんなことばっかり言ってると色んな人からぶっ飛ばされそうなので、そろそろ自重しようと思うが。
「ふーん、まぁいいか。………ねぇ、あなた今好きな人いる?」
「………………は?」
急に昼休みの女子高生が話すかのようなノリで話題を振られ、ユーリは暫し固まった。
この戦場で、何が楽しくてそんな恋バナに花を咲かせないといけないのか。
流れてるくBGMは学校で流れるようなポップなものではなく、凄まじい攻撃の音だ。
ユーリは妖精を見ながらちょっと引いた。