第1章 前編 時の彼女と死の外科医
その頃ローはドフラミンゴと藤虎から逃げつつユーリを探していた。
なんだかんだで逃げてくれればいいが、面倒ごとに巻き込まれてないかと心配していたのだ。
身体に傷を負いながらもナミに船を持ってくるように告げる。
そしてこのままでは埒が明かないと思い、背後から迫ってくるドフラミンゴを迎え撃った。
ユーリは上空に身を翻すと、予想通り藤虎が重力を操りローに攻撃を仕掛けようとしていた。
「ごめんなさい」
ユーリは刀を一振りすると、同じく重力を操り藤虎を地面に叩きつけた。
「……この力は…一体?」
地面に叩きつけられ、血を吐く藤虎の足元に舞い降りるユーリ。
藤虎からしてみれば、同じ能力を扱う人物の登場に、動揺せざるを得ないだろう。
「あなたさんは…何者で?」
能力を解除してないにも関わらず、ユーリがいる方向へ視線を向ける藤虎。
「たいした者ではないですよ。ただ、守りたい人がいるだけです」
ユーリは静かに笑うと、一瞬でその場から消えた。
彼女は消えたが、地面に押さえつけらる力が解除される気配がない。
藤虎はさてどうしたものかと考えた。
「どうやら……この時代も大きく変わろうとしてるようで」
静かに呟いた藤虎の言葉は、森の中へと消えていった。