第1章 前編 時の彼女と死の外科医
そして数十分後、3人は取引場所であるグリーンビットにたどり着いた。
異様に発達した植物を興味深そうにしていたユーリは、とりあえず暇だったので島を偵察することを申し出た。
といってもユーリの能力は奇襲を得意するので、敵の目から離れたいことが本音ではあったが。
ローは一瞬渋ったが、島の様子を確かめたいとは思っていたので、戻ってくる時間を指定しユーリを偵察に向かわせた。
そしてユーリは偵察という名目で、これから起こる事態に備えたのだ。
「しかし変な森だよなぁ」
ユーリはローからそこまで離れないように適当にウロウロしていたが、一際大きな大樹の前で立ち止まった。
天まで届きそうなその樹は、空が見えない程大きかった。
ユーリは日ごろの疲れからか、少し休憩しようと思いその幹に腰を下ろた。
そしてこれからの流れについて考えていた。
ーーーー今回は早く見つかったのか、憐れな犠牲者よ
「…えっ?」
ぼーっとしてると、ふと聞こえてきた声に辺りを見渡すが誰もいない。
ユーリは首を傾げてると、急激な睡魔に襲われ意識を失った。