第1章 前編 時の彼女と死の外科医
(……んんん?まじで今日はどうしたんだ。いや、そもそも今までがどうしたんだって話だが。……っは!そういえばローは死ぬ覚悟で来てるんだった。と言うことは…何か私に伝えたいとか?…えっ、なにを?)
ユーリが悶々と考え事をしていると、診察が終わったのか彼の手が肩から離れていった。
そして背後からユーリの顎を掴むと、そのまま後ろに向けさせた。
「…結局怒らねェんだな」
ユーリは首が折れると思ったが、ローと目があった瞬間なんとも言えない気持ちになった。
(……どうしてそんな全てを諦めたような、悲しそうな表情を…)
ユーリは目を見開き固まった。
本人は自覚がないかもしれないが、そんな表情されたら、どうすればいいか分からなくなる。
だからローがゆっくりと顔を近づけてきても、拒むことはできなかった。