第1章 前編 時の彼女と死の外科医
3日目
「……ねぇナミ、ドレスローザに今日つかないかな」
ユーリはぐったりとしながら食堂でナミと一緒に昼飯を取っていた。
「今日はたぶん無理ね。明日の朝には着くと思うけど」
期待していたわけではないが、ナミの答えにがっかりすると、そのままテーブルにうつ伏せになった。
「だいぶ疲れてるみたいだけど、大丈夫?」
「……まぁ、なんとか大丈夫です」
ユーリはあと一日我慢すれば何とかなると、己に言い聞かせ頑張ることにした。
ドレスローザに着けば取り合えず単独行動をして、色々服とか調達しようと思ってた。
実際今回の作戦は、途中参加のユーリには関係ないので、離れて行動するといっても渋られる理由はないだろう。
因みに破かれた服は、なんとか誤魔化して謝り、代わりの服を返すことにした。
ナミはそんな必要ないと言ってくれたけど。
ユーリはため息をついて立ち上がると、どうせ逃げ場はないんだから堂々としてやると思い食堂を出て行った。
その後与えられた寝床で昼寝したりぼんやりと海を眺めていたりしたが、夜になってもローが現れることはなかった。
そして時を同じくして日も完全に落ちたころ、ローも暗い海をぼんやりと眺めていた。
考えているのはもちろんユーリのことだ。
どんなに酷く抱かれようがまるでローのことを意識しないユーリに、苛立ちを通り越して最早関心していた。
ここまで来ると、やり方を変えたほうがいいのではと思い始めたくらいだ。
(変えるも何も最後の夜だからな。……仕方ねェな)
ドレスローザに着けば、もう2度とユーリと関わる機会がなくなるかもしれない。
今更目的を変えるわけないが、その事実に少しだけ心残りだった。
ローは暗い海から視線を外し身を翻すと、静かに目的の場所に向かった。