第1章 前編 時の彼女と死の外科医
2日目
ユーリは再び昼過ぎに目を覚ました。
正確には夜中目を覚まして空腹を満たしたり身体を綺麗にしたりしていたが、すぐに意識を失うように眠りについた。
そして起き上がったユーリは再びワナワナと怒りに震えた。
しかし何時までそうしてても仕方ないので、すぐさまルフィ達のところで飛んで行った。
流石のユーリも学習して一人になるのを避けることにしたのだ。
船の先端でルフィとウソップが釣りをしているのを見つけると、猛ダッシュで彼らの元へ向かった。
2人は一瞬キョトンとしていたが、一緒に釣りがしたいというユーリを快く迎えた。
そして数時間後
「あれ、トラ男も釣りするのか?」
いつのまにかルフィ達の後ろに立っていたローにルフィは声をかけた。
ユーリは一瞬ギクリとしたが、気づかないふりをして釣りに集中した。
「……興味ねェ。それよりユーリ、傷の具合を診るからこっちにこい」
「はぁ!?ちょ、おま、絶対嘘だろそれ」
ローに腕を掴まれて無理やり立たされたユーリは、冗談じゃないと足を踏ん張った。
そんな2人のやり取りを不思議そうに見ているルフィとウソップ。
「いやいやユーリ、痛いのが怖いのは分かるがちゃんと診てもらったがいいぞ」
「ししし!ユーリも怖いのあるんだな!」
「いや、ちょ、これには闇より深い事情がありまして。って引っ張るな服が伸びる!2人とも笑ってないで助けようよ!」
ローにズルズルと引きずられながら、ユーリの悲痛な叫びは、虚しくも消えていったのだ。