第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「面白いものって?」
「ん?…あぁ、もちろん彼との勝負も面白かったけど、一番は君の存在だよ」
男の言葉にユーリは首を傾げた。
存在が面白いってなんか馬鹿にされてる感じが否めない。
ユーリが思い悩んでいると、その様子を見た男はクスリと笑みを浮かべた。
「さっきも言ったようにカードには何も仕掛けていない。それにもかかわらず1回目はストレート、2回目は4カード、3回目はロイヤル・フラッシュと来た」
これが何を意味するか分かるかな?
男の言葉にユーリは未だに首を傾げていたが、ローは瞬時に理解してしまった。
「てめぇ、敵の味方をするとはいい度胸じゃねぇか」
ローはユーリの頭を鷲掴み怒りを露わにした。
ユーリが男の傍にいる時は相手に強いカードが渡り、ローの傍にくればローへ強いカードが渡ってきた。
何ともこじつけな気もするが、気に入らないものは気に入らないので仕方ない。
「いたたたた!だから禿げるって!てかローは私がいなくても強いカード引いてたでしょ!」
「それとこれは関係ねぇよ」
「それを言うなら私も関係ないって!なんて言いがかりを付けやがる!」
ユーリはジタバタ暴れてなんとかローの手から逃れると、取り合えず距離を取った。
今回のポーカーは最早ただの奇跡だ。
3回連続で1%以下の確率の組み合わせが出来るなんて、本物の勝利の女神でも無理だと思う。
ユーリは頭をさすりながらローを恨めしそうに見ていた。
「さて、私はそろそろ戻ることにするよ。本の件はここのスタッフに言えば分かるように話しておくから」
男はユーリ達の様子を暫く微笑ましく思って見ていたのだが、だいぶ時間も過ぎていたのでこの場を離れることにした。
そしてフレバンスの件があるのでユーリに名刺を渡すと、その男は去っていった。