第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「いやー参った。勝利の女神が離れたせいで負けてしまったよ」
そういう男の手札は、ワンペアだった。
ローはいまいち状況が理解できなかった。
ロイヤル・フラッシュはポーカーの中でも一番最強の組み合わせで、最早確率なんて0.003%の世界だ。
そんな組み合わせがこんな偶然のタイミングで出来るのだろうか。
「カードに何か仕組んでいると思っているのかな?残念ながら私ができるのは相手の心を読むか、制限するだけだよ」
ローの心を読んだのか、男がそう答えてきた。
どうやら悪魔の実の能力者のようだが、しれっと卑怯な手口を話してきた。
相手の心が読めるなんて最早ゲームの意味がない。
心を読んだところで100%の確率で勝てるわけではないが、負ける確率の方が低いだろう。
そしてわざわざ聞かなくてもユーリ達の目的もその他の事項も全て筒抜けだった事実に、ローの眉間のシワは更に深くなった。
「因みにユーリは心以上に表情が物語っていたから、能力は使わなかったけどね」
「え?それって喜ぶところですか?」
「……何をどう聞いたら喜べるんだよ」
ローは脱力した。なんかもう色々疲れてきた。
因みにユーリが動けなくなった理由は制限によるものだった。
「じゃぁ約束通り彼女は解放するよ。後、面白いものを見せてもらったから、君にはここの図書館にある本でいいなら何冊でも好きなのを持っていくといい。荷物になるなら後で送ってあげてもいいし」
ローは疲れきっていたが、男のその言葉に少し浮上した。
海軍の話すことなど信用するなと言っていたばかりなのだが、本が絡んでいたので最早条件反射だ。
「ふふふ、君も正直だね。彼女の影響かな?」
そしてまた心を読んだのか、男の言葉にローは何とも言えない表情になった。
取り合えずこの男とのやり取りは非常に疲れるので、早く離れたかった。