第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「ここで騒ぎになっても困るのは君達だろ?まぁ私もそこまで鬼ではない。そんなに彼女を返してほしければ私と勝負をするか?」
男はユーリを下ろすと、能力を解除した。
「勿論君が負けたら監獄に行ってもらうよ。まぁ私に勝てる自信がないなら無理には言わないが」
その代わり彼女は諦めてもらうけどね。
男は笑みを浮かべてローを挑発した。
「……」
ローは眉をひそめると、そっとため息を吐いた。
正直ここで騒ぎを起こしたくはなかった。
まだ読みたい本があるのも理由だが、港に着くまで3日間ずっと船の上で政府と揉め続けるのは面倒で仕方なかった。
「私が言ってもまったく説得力がないけど、彼は強いと思うよ。だから無理しなくても…」
そしてユーリのこの言葉である。
暗に私のことは諦めろとも聞こえる。
もちろんユーリとて隙を見て逃げるんだろうが、ローの機嫌は急降下した。
ユーリはローのことを心配して言ってるのだろうが、もう少し頼ってくれてもいいんじゃないだろうか。
「その勝負受けてやるよ」
ローは男を睨みつけるとポーカーのテーブルの席についた。
「彼女といい君といい、本当にノリがいいんだね」
男は何とも楽しそうにローの正面に座った。
因みにユーリは身体は動くが、何故か男の傍から離れられなかった。
ローはその様子に眉をひそめたが、さっさと終わらせるためにゲームを開始することにした。