第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
そして男がユーリを抱えて歩きだそうとした瞬間、来て欲しかったような欲しくなかったローが現れた。
「……どういう状況だ」
ローは額に青筋を立てながら2人の前に立ちはだかった。
「…すいません」
ユーリは諦めて全てを白状した。
案の定ローの表情はどんどん険しくなっていった。
途中から男も会話に入ってきたので更に悪化したせいもあるが。
「取り合えず鬼哭はちょっと待ってください」
「当然だ、そんな奴素手で十分だ」
「やれやれ随分と血の気が多い人だね」
「てめぇ何時までユーリに触っているんだ、さっさと離れろ」
「何を言ってるんだ、彼女は私のものになったとさっき説明しただろ」
「そいつはおれのだ。今すぐここで殺すぞ」
「まったく、死の外科医はその名の通り物騒だな」
男の言葉に、ローの眉間のシワがより深くなった。
当然と言えば当然だが、政府関係者のこの男はローの正体に気づいていた。
あまり変装する気のなかったローにも問題があるのだが。