第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「いや、それはちょっと後々怖いんで…」
ユーリの表情は少し青ざめていた。
「大丈夫、私は優しいから。何も不自由はさせないよ」
「いやあなたではなく、私の身内にですね…」
ユーリは顔を引きつらせながら、早くこの場を立ち去る方法はないか考えていた。
ローがこの現場にいたら怒るのは間違いない。
折角ここ最近穏やかに過ごしていたのに、再び地雷を踏んで自滅するなんて絶対したくなかった。
なんとかローが追ってくるまでにこの男から離れなければ。
(というか今すぐ逃げればいいのか!)
ユーリはそう思うと、身を翻し逃げようとした。
「……ん?」
しかしユーリの身体は動かなかった。
「あぁ、私は能力者だから。勝負を受けるまで逃げれないよ」
「……まじっすか」
何の能力かは知らないが、とんだ災難だとユーリは思った。
こうなればさっさと勝負を終わらせるしかないが、負ける気しかしない。
「大丈夫、ポーカーなんて所詮運だから。それに君が勝てばこの船ごとあげてもいいんだよ?」
ユーリが逃げる方法を考えていると、男の言葉に少し驚いた。
なんとこの男は豪華客船の持ち主らしい。
船ごととはもしかしてあの図書館も入るのだろうか。
ユーリはそれを聞いてみると、勿論全ての本をくれるようだった。
「……」
ユーリは迷ってしまった。
勝つ自信は全くないので迷うのもおかしいのだが、あの図書館が貰えればローが喜ぶんじゃないかと思ってしまった。
取り合えず選択肢は3つだ。
1 このまま男と一緒にいるのをローに見つかり、地雷を踏むか
2 早く終わらせるために勝負を受けたのはいいが負けて、地雷を踏むか
3 奇跡的に男に勝ちハッピーエンドになるか