第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「すごい人多いね!…あ、何か楽しそうなのがある!」
ユーリはカジノに入るとさっそくゲームを始めていた。
なんだかルーレットのあるところに座って、よく分からないまま賭けをしている。
よく分からないまま賭けを始めているので勿論負けている。
ローは軽くルールを教えてやるが、カジノなんてここ数年来てなかったし好きでもなかったので、正直あまり詳しくはない。
しかしローが教えたのがよかったのか、少しずつコツを掴んできたようだ。
ユーリはなんとも楽しそうにゲームをしており、その後ろでローは見守っていた。
本当はこんな治安の悪い場所にユーリを連れてきたくなかったが、本人が引かないので仕方ない。
だからユーリが満足するまで彼女に変な虫がつかないよう、見張らなければならないのだ。
「ねぇねぇお兄さん、お酒でもどうかしら?」
ローがユーリの後ろから殺気を飛ばしているにも関わらず、平気で声を掛けてくる奴がいた。
視線を向けると、所謂バニーガールが立っており酒を配っているようだった。
ローは受け取るか一瞬迷ったが、取り合えず受け取るだけ受け取った。
そうしたらその女も満足して立ち去るのかと思ったが、彼女はまだ用事があるのかローの傍から離れなかった。
「このゲームに興味あるの?お兄さんかっこいいから特別に勝ち方を教えてあげようか?」
ローは無視しようとしていたのだが、微妙に気になる内容の話だった。
その女も少しローが視線を寄こしただけで興味があるのが分かってしまったのか、勝手に色々話し始めた。
最初は半信半疑だったのだが、意外と的を得ている内容だった。
途中ベタベタ触ってくるのは気に入らなかったが、ローはユーリに教えようと再び彼女に視線を戻した。
「……」
しかしユーリの姿は何時の間にかルーレットの前から消えていた。
飽きたのかローが話していたので勝手にどこかへ行ったのかは分からないが、ローは舌打ちをするとユーリを探しに向かった。
後ろで先ほどの女が何か言ってるが知ったことではない。
絶対何か余計なことに巻き込まれていると思ったローは、部屋全体をスキャンしたのだった。