第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「いやっほーー!遂にケーキバイキングだー!」
ユーリが眠りにつき日も暮れ始めた頃、流石にそろそろ連れて行ってやらないと怒るだろうと思ってユーリを起こした。
まだまだ読み足りなかったがあと三日はこの船に乗っているし、深夜も開いているようなのでまた後で来ることにしたのだ。
そして2人でレストランへ来たのだが、案の定ユーリは我慢させられた分ヒートアップしていた。
皿に盛られたケーキの数に見てるこっちが胸焼けしそうだった。
「ふぇふぁ、ひょふふぁふぉーてふぁれないよね?」(てか、よくローってばれないよね?)
「…何言ってるかまったく分かんねぇよ」
大量に取るだけとってきて口に次々と放り込むユーリは、色んな意味で凄かった。
ローは呆れた表情で甘いもの以外の軽食を取ってきて口に運んでいた。
恐らくユーリの言いたいことはローは名の知れた海賊なので、その内誰かが通報してもおかしくないという事だろう。
こんな海の上でゴタゴタに巻き込まれたら、能力者である二人からすればかなり面倒だ。
だからローも一応気にして軽く変装してるが、黒縁メガネにいつもの帽子をとっているだけである。
まったく隠す気がないが今のところ騒ぎは起きていないので、もうこれでいいだろうと思っていた。
「ふぁ!ふぉーひゅほーるふぉうしっふぇいのか!」(あぁ!ロー=帽子だから気づかれないのか!)
「……おい、なんか失礼なこと言ってるだろ」
何言ってるか分からないにも関わらず、ユーリの言いたいことが何となく察してしまうあたり、ローも中々に凄かった。
ユーリを軽く睨みつけるが当の本人はケーキしか見えていない。
腹いせに目の前のケーキを食ってやろうかとも思ったが、ローにもダメージが来るので止めておいた。
そしてあっという間に皿に積まれたケーキは消えていき、再びユーリはケーキを補充するために席を立ったのだった。