第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ーーーーやっほー!おめでとうー!
二人が顔を見合わせていると、祝いの言葉と共にキラキラとした光が当たり一面を覆った。
雪のように降り注ぐ光はなんとも幻想的だったが、ユーリは妖精の声だと分かり彼女の姿を探した。
ーーーーやっっっと物語に一区切りついたわね!本当にヒヤヒヤさせるんだから!
ユーリが辺りを見渡しても妖精の姿は見えなかった。
ーーーーまだまだあなた達の物語はこれからだけど、私は満足したから観客席から降りることにするわ
「えっ?それってどういう意味ですか?また会いに来てくれますよね…?」
ーーーーやーね、こんだけ顔を合わせて来たんだからもう十分でしょ、私はあるべき場所に帰らせて貰うから
妖精の言葉が何を意味するのか、何となく分かっていた。
幼いころに聞かされた言葉が本当なら、彼女はきっともう……
「…っ!もしかしてあなたの名前って……」
ユーリはふと1つの可能性に辿り着き、驚きの声を発した。
しかし妖精は聞こえているのか聞こえていないのか、ユーリの言葉を気にした様子はなかった。
ーーーーなに祝いの席で辛気臭い顔をしているのよ。やっと掴んだ幸せなんだから、大切にしなさいよ!
……妖精は結局、最後まで名前を教えてくれなかった。
でも彼女はずっと、ユーリのことを見守ってくれていたあの子なような気がしたのだ。
ユーリは流れそうになる涙を抑えると、彼女に届くように声を張り上げた。
「本当にありがとうございます!必ず恩返しをしますので必ず会いにきてください!」
ユーリのその言葉に妖精が答えることはなかった。
妖精がいなければ2人は出会うことはなかっただろう。
遠い昔にした約束を、彼女は守ってくれたのだ。
ローは静かにユーリを見ていた。
妖精とどんな関りがあったのかは分からないが、何度もユーリを助けてきた妖精はきっと大切な存在なのだろう。
実際にローも助けてもらったことがあるので、彼女には感謝していた。
カーン
カーン
そして鳴り響いている鐘の音が更に大きくなり、二人の意識は暗転していった。